石の初心者にとり、石の名前を覚えることはとても重要です。ですが残念なことに石の名前は図鑑には出ていない(書籍)と理解する必要があります。これから石の名前を覚えようとする人が、近くに石の名前を判別できる人がいたとすれば、あなたはとても幸せな人です。

 基本的には石の名前は自分の力で調べ、名前を知っていくしかありません。しかしその過程においても、すんなり名前が登場してくるのではなく、いわば消去法のような形で最終的な名前を選択していきます。

 ですから、最初から正しい名前を知ること自体はとても難しいことだと納得した上でスタートしましょう。

 

 私が名前を知るためにとった選択方法は、最終的には色々な石の情報を得るために有効ですから是非試してみて下さい。

 

 例えば河原に石を拾いに行くとする。すると多くの人は珍しい石を探します。より珍しい石、より綺麗な石、と探していくのです。私の場合その真逆になります。そこの河原に落ちている全種類の石を探します。

 その探す過程の中では、珍しい石かどうか綺麗な石かどうかなどは、私の興味の対象から外れます。もちろん、河原で誰でも拾える石ですから、石の名前を判別できる人はたくさんおります。実はこの作業を繰り返していきます。色々な場所で石を採取し、その付近に落ちている石の種類を自分なりの感覚でよいので網羅していきます。この作業が繰り返されることによって、世の中にはどんな種類の岩石があるのかがおぼろげながら自分の知識の中に埋まってきます。すると、特別な石の種類の名前を覚えなくても、その違いを発見することは容易なこととなっていきます。

 その結果として、一番多く目にする機会の多い、基本的な岩石の名前をしっかりと判別しやすくなってきます。実は、基本的な岩石は色々な表情を見せ、素人目にはその違いがほとんど理解が出来ません。まずはこの理解を正確にすることで、岩石の名前を理解する一歩が大きく進みます。

 あえて付け加えますと、基本的な岩石の分布とそこに混ざる変成岩などの種類を考察すると、その地域で起きていた地球規模の地質学的な変動が素人目にも映ってきます。この作業が繰り返されることによって、特殊な岩石の発見能力も一段と向上します。

 北海道の地区では、あまり発見されていないような珍しい岩石も、発見することが可能となってきます。実際のお話として、北海道地区におけるコランダムの発見は、私たちのメンバー一人一人が見つけ出しております。

 あまり多く発見しても管理が出来ないので、現地での写真撮影のみということも年々増えてきております。世の中のお話を聞きますと、岩石や鉱物の専門家と呼ばれている方々の中に、数十種類の岩石の鑑別も出来ない方が多いと言われておりますが、私が学生であればそんな専門家から学べることは何一つないと感じてしまいますね。