【石の専門家には気をつけよう】

 札幌地質探究部の所属メンバーはすべて岩石や鉱物に関する知識が全くありませんでした。そんな中で岩石の標本を作っていくという活動は、何かと苦労が多いものです。一番の問題は、岩石の名前が分からない、鉱物の名前が分からない、図鑑を調べても分からない、専門家と言われる人に聞いても今一つピンとこないことも多い。そんな中で何度か同じ石を見てもらおうとすると、あからさまに嫌がられてしまう。そして一言「岩石鑑定を受けたらいかがですか?」と岩石鑑定をすすめられる。岩石や鉱物の専門家の人は、経済的な知識が全くないのやら、恐ろしいことを平気で口走る。岩石や鉱物の鑑定を受けようとすると、1個10万円の費用がかかる。10個の石が分からなければ、100万円。100個の石が分からなければ1000万円となる。

 

 普通に暮らす一般庶民が通常の岩石鑑定など受けられるわけがないのだ。もしこの事実を知らないとすればただのアホ。もし知っていてすすめていたとすれば嫌がらせ、という状況になる。

 

 本州には岩石マニアと言われる、岩石・鉱物に深い知識を持ったアマチュアの方がたくさんいらっしゃる。どうやら結構親切らしい。ところが北海道にはそういった環境がない。そんな悪条件の中ですすめてきた活動。いつしか、ある程度は人に教えられる立場なってきた。

 

 活動当初は岩石の名前を知るために、必要な標本を購入するという方法もたくさん選択した。そのかいもあって、北海道地区での岩石や鉱物を探す力は岩石・鉱物の素人であるアマチュアとしては、群を抜いた実力を身に付けているだろう。

 

 岩石・鉱物に対する専門知識は無くても、分析能力を駆使すればいろいろな事を発見することが出来る。私たちの活動に基本的には専門家と言われる応援者もいなければ、岩石の採取地のアドバイスを受けたこともただの一度もない。全ては自分たちの能力の範囲で行ってきた活動になる。

 

 つまり、私たちが出来たのであるから、岩石や鉱物の素人の方が私たちの後を追う事も、追い越す事もその道は開けている。私たちはなるべく数多くの岩石の姿や様子をネットで写真公開をしている。その1枚の写真が一つの活動のきっかけになれば、私たちの活動は無駄ではない。私たちは学術員ではないから、学会発表を目的をしていない。

 活動の目的はあくまで岩石・鉱物に興味を持つ人々の裾野の拡大である。つまり、私たちが何かを発表するのではなく、未来の子供たちの実績として輝かしい発表の場を譲っているだけである。私たちはそれだけで十分満足である。