≪十勝石と呼ばれた黒曜石≫

 昔、札幌の農家の畑でも、黒曜石で作られた矢じりを見かける事がありました。そして、丸いおにぎりのような黒曜石。表面は決まって、白くざらついていましたが、その石を割るとガラス状の割れ目と共に、鋭い割れ口が表れます。子供たちの中にもこの黒曜石こと「十勝石」を持っている人は、意外と多かったように記憶しております。

 名前が示すとおりに「十勝石」と言えば、「十勝で採れる石」くらいの認識でしたが、札幌近郊では、赤井川地域で黒曜石が見つかります。けれども、その事は意外と知る人は少ないようです。

 昔は、十勝地方の河川ではとても容易に十勝石が拾えましたが、最近では限られた地域以外では見つけにくいようです。

 

 北海道には、有名な黒曜石の産地が四ヶ所あります。赤井川、白滝、置戸、十勝です。その他にも、わずかながら北海道各地で黒曜石が産出します。私たちが訪れた地域としては、名寄、豊浦などです。

 黒曜石の四大産地は、それぞれ特徴があります。例えば、赤井川産の黒曜石には、スノーフレークという、まるで雪を振りかけた様な白い模様のクリストバル石がたくさん混入しています。若干、鋭角性に欠けるようです。白滝産の黒曜石は、「紅十勝」という呼ばれ方をしますが、黒曜石の中に赤いガラス状の筋が入っています。置戸地区の黒曜石は、昔、アイヌ民族の人たちに多用されたことをうかがわせるかのように、川の名前などに表現されています。置戸の黒曜石で目立つお話としては、「置戸銀」と呼ばれる表現がありますが、黒曜石の中にわずかながら銀色の模様が入る石があります。たぶん、鋭角な石器を作ろうとするならば、十勝産の黒曜石が一番適しているかも知れません。しかし、その分、石質の粘りが強いので、加工は難しいかしれません。そんなことを思い浮かべながら、

黒曜石の産地を巡りますと、思いもよらない素人発見があります。

 例えば、赤井川地域の黒曜石には、火山噴火時に黒曜石のもととなったものが飛び出したことがはっきり分かり、ガス抜けした黒曜石もありました。また、この黒曜石は、長い間海水に浸かっていたのではないか、という石も見かけることがあります。そんなことを想像していると、夢はどこまでも広がっていきます。

 

 

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